日本語教員試験を受ける前に知っておきたかったこと|費用・ルート・待遇を現役日本語教師が本音で語る

日本語教師として働き始めて数年。私は2026年度の日本語教員試験(応用試験)を受験予定です。

実際に受験を決めて感じたのは、「もっと早く知っておきたかった……」ということが、思っていた以上にたくさんあったことです。

どのルートで受験するのか。
費用はいくらかかるのか。
資格を取ったら、本当に給料や待遇は良くなるのか。
そして、資格を取れば良い授業ができるようになるのか。

日本語教員試験の制度については、文部科学省や他のサイトで詳しく説明されています。

そのため、この記事では制度を一から解説するのではなく、現役日本語教師として、実際に受験を決めるまでに感じたことや、現場で働いていて分かったことを書いていきます。

自分がどのルートなのか分かりにくかった

最初につまずいたのが、自分がどのルートに当てはまるのか分からなかったことです。

「私はどのルートで受験するの?」

資料を何度読んでも、自分がどのルートに該当するのか分からず、結局、文部科学省に問い合わせました。

すると、電話口の担当者から「○○に書いてあります」と案内されました。

もちろん、資料には書いてありました。実際、私もその資料を読んでいました。

それでも、受験する側からすると、すごく分かりにくいと感じました。

養成講座をいつ修了したのか、どのような日本語教育機関で働いているのかなどによって、適用されるルートが変わります。

さらに、ルートによって必要になる講習や試験、費用も変わってきます。

自分がどこに当てはまるのかを確認するだけでも一苦労でした。

「これから受験する人が、もう少し簡単に自分のルートを確認できるようになっていたらいいのに」というのが正直な感想です。

ちなみに、私の場合はD-1ルートに該当するため、2026年度は応用試験のみを受験する予定です。

早く養成講座を修了した人の負担が大きいのはなぜ?

制度を調べていて、もう一つ複雑な気持ちになったことがあります。

私はかなり前に、日本語教師養成講座を修了していました。

ところが、日本語教員試験の制度を調べてみると、私の場合はD-1ルートに該当するため、勤続1年以上という条件を満たしたうえで講習Ⅱを受け、応用試験も受験する必要があることが分かりました。

一方で、一定の条件を満たした課程修了者には、Cルートとして応用試験のみで受験できるケースがあります。

そこで思ったのが、

「早くから養成講座を修了して、日本語教師として働いてきた自分のほうが、なぜ受験時の負担が大きいんだろう?」

ということでした。

これを知ったときは、正直かなり複雑な気持ちになりました。

制度には、それぞれ理由があるのだと思います。

それでも、実際に受験する側からすると、同じように養成講座を修了していても、修了時期や条件によって受験時の負担が大きく違うことには、どうしても不公平さを感じてしまいます。

「先に日本語教師養成講座を修了した人ほど、なぜ負担が大きくなるんだろう?」

これは、実際に制度を調べてみて感じた率直な疑問でした。

日本語教員試験は思った以上にお金がかかる

ルートが分かった次に気になったのが、費用でした。

私の場合はD-1ルートなので、ネットで受講できる講習Ⅱ、受験料、教材代などを合わせると、約4万円かかります。

これに加えて、受験会場までの交通費も必要です。

「資格試験を受けるだけなのに、こんなにかかるの?」

というのが率直な感想でした。

※講習や教材の費用、受験料などは変更される可能性があるため、ここではあえて概算で紹介しています。実際に受験する際は、必ず最新の情報を確認してください。

養成講座から登録日本語教員を目指すと、さらに費用がかかる

日本語教師になるためのルートはいくつかありますが、養成講座を修了して日本語教師を目指す人も多いと思います。

私が調べた養成講座の中には、入学金と受講料を合わせると60万円を超えるところもありました。

リスキリング支援制度(簡単に言うとキャッシュバック制度です)を利用できれば、自己負担を大きく抑えられる場合もあります。それでも、決して安い金額ではありません。

そして、ここで注意したいのが、養成講座の受講料だけで終わるとは限らないということです。

養成講座は、あくまで日本語教師になるための知識やスキルを学ぶ講座です。

日本語教員試験に合格するための対策講座は、養成講座とは別に用意されていることもあり、日本語教員試験合格パックなどを別途受講すると、さらに数十万円かかる場合があります。

つまり、

  1. 日本語教師養成講座の費用
  2. 日本語教員試験に合格するための対策講座
  3. 日本語教員試験の受験料
  4. 教材代
  5. 合格後の登録にかかる費用

と、登録日本語教員になるまでに必要な費用が積み上がっていくことになります。

そのため、養成講座から日本語教員試験の合格を目指す場合、資格取得までに50万円以上かかるケースもあります。

もちろん、国家資格を取得するためなので、ある程度の費用がかかること自体は仕方がないと思います。

ただ、資格を取得するためにこれだけのお金と時間をかけるなら、「取得後は待遇も給料も良くなるのでは?」と期待しますが、現実は甘くありませんでした。

資格を取れば、待遇も給料も良くなると思っていた

そして、受験を決める前に気になったのが、

「資格を取ったら、実際に待遇も給料も良くなるの?」ということでした。

私はまだ日本語教員試験に合格していません。

だからこそ、資格を取得した場合に勤務先の待遇や給料がどう変わるのか、実際に学校や知り合いに確認してみました。

すると、学校によって対応はかなり違うことが分かりました。

例えば、

  • 補助を受ける場合は複数年の在籍が条件
  • 受験料を補助してもらえるが、一定期間の在籍が条件
  • 補助はない代わりに、資格取得後に1コマあたりの給料が少し上がる

など、さまざまです。

以前働いていた学校では1コマ100円アップ

以前働いていた日本語学校の担当者に、資格を取得した場合の待遇について聞いてみました。

すると、

「日本語教員の資格はどの日本語学校でも使えるものなので、補助はありません。その代わり、1コマあたり100円だけ給料が上がります。」

という説明でした。

1コマ100円でも、長く働けば積み重なります。

ただ、資格取得のためには勉強する時間も必要ですし、講習費や受験料、教材代、登録にかかる費用なども必要です。

それを考えると、

「100円だけ?思っていたより待遇も給料も良くならないじゃん。」というのが正直な感想でした。

現在の勤務先は受験料の補助はあるけれど、給料は変わらない

現在働いている学校では、受験料(17,300円)のみ支給してもらえるものの、一定期間在籍していることが条件になっており、資格を取得しても給料は変わらないということが分かりました。

つまり、私が実際に確認した範囲では、

「受験料の補助はあるけれど給料は変わらない」
「補助はないけれど、資格取得後に1コマ100円程度給料が上がる」
「補助を受けるために在籍期間の条件がある」

など、学校によって対応は違うものの、「資格を取れば全員が待遇や給料が大きく良くなる」というわけではないということでした。

受験する前は「登録日本語教員は国家資格になるのだから、日本語教師の待遇も少しずつ良くなっていくのではないか?」と期待していただけに残念でした。

ここでお伝えしておきたいことは、私が実際に勤務先へ確認した内容や、資格を取得した方から聞いた話だけで、日本語教師全体の待遇や給料について断定することはできません。

ただ、少なくとも私が確認した範囲では、国家資格化されたからといって、資格取得者の給料が一律に上がるわけではないことは分かりました。

日本語教育の質を高めることはもちろん大切だと思います。

その一方で、せっかく時間とお金をかけて資格を取得するなら、資格を取った人が、

「頑張って取得してよかった」と思えるような待遇にしてほしいなと思います。

そしてこれは、日本語教師だけの問題ではありません。
物価が上がる一方で、給料の伸びを実感しにくいという状況は、日本社会全体で起きています。

だからこそ、日本語教師の待遇改善についても、資格制度を整えるだけではなく、実際に現場で働く人の収入や働き方がどう変わったのかまで見ていく必要があるのではないかと思っています。

資格を取れば、教え方が上手くなるわけではない

そして、受験を決める中でもう一つ気になったのが、

「資格を取得することと、良い授業ができることは別の話ではないか」ということです。

例えば、パワーポイントが準備されている学校では、みんながマニュアルに沿って授業を進めることになります。

もちろん、授業の流れを統一したり、一定の質を保ったりするためには必要な仕組みです。

ですが、

「マニュアル通りの授業だから、学生にとって分かりやすい授業になっているのか?」というと、私は少し疑問に感じます。

同じ文法を教える場合でも、クラスによって学生の理解度や雰囲気は違います。

最初に教壇に立った頃は、
「この説明で本当に伝わっているのかな?」と悩むことも多くありました。

ですが、教科書を何度も使用し、学生の反応を見ながら授業をするうちに

「このクラスには、この説明のほうが分かりやすいかも」
「ここはもう少し説明したほうがいい」
「逆に、ここは説明しすぎないほうがいい」

と考えられるようになりました。

私自身、教科書を何周もして、試行錯誤を繰り返す中で、少しずつ自分なりの教え方が見えてきました。

私はまだ資格を取得していませんが、今の段階で言えるのは、資格を取得すれば、それだけで突然教え方が上手くなるわけではないということです。

資格の勉強で得た知識を、実際の授業に生かせることはもちろんあると思います。

一方で、実際に教壇に立ち、学生の反応を見ながら試行錯誤を繰り返し、場数を踏むことも、教師として成長するためには大切なのではないかと思っています。

それでも私は日本語教員試験を受験します

ここまで読むと、

「じゃあ、日本語教員試験を受ける意味あるの?」と思う方もいるかもしれません。

それでも私は受験します。理由は、大きく2つあります。

働ける学校の選択肢を増やしたい

日本語学校は、どこで働いても同じではありません。

実際に働いてみると、

「この学校は自分に合う」
「ここはちょっと合わない」

ということが多々あります。

100%自分に合う学校は、ほぼありません(笑)。

学校によって、授業の進め方、業務内容、給料、先生同士の雰囲気なども違います。

だからこそ、働く場所を選べるだけの選択肢を持っておきたいと思っています。

資格を取得することで、認定日本語教育機関で登録日本語教員として働くという選択肢が広がることは、私にとって大きなメリットです。

だから私は、できるだけ多くの選択肢を持っておきたいと思い、受験することにしました。

私はD-1なので、経過措置があるうちに取得したい

もう一つの理由は、今のうちに取得しておきたいからです。

現在は経過措置により、私(D-1ルート)は応用試験のみです。

しかし、D-1ルートの経過措置が終了すると、基礎試験と応用試験の両方を受験する必要があります。

ここは、すべてのルートが同じというわけではありません。Cルートなど、別の要件に該当する場合は扱いが異なります。

だからこそ、私は、

「応用試験のみを受験できる今のうちに資格を取っておきたい」と考えました。

授業の準備をするだけでも大変なのに、そのうえ資格試験の勉強をするのは、かなりの負担です。

「だったら、今のうちに取っておこう」

そう考えて、今回受験することにしました。

……とはいえ、応用試験もまあまあ難しいです。

一発で合格できたらいいな、と思いながら勉強しています(笑)。

ちなみに、教科書はこの2冊を使っています。


日本語教員試験を受験するか迷っている人へ

日本語教員試験について調べ始めた頃の私は、

「私はどのルート?」
「いくらかかるの?」
「受ける意味ある?」

と疑問だらけでした。

そして、実際に調べたり、問い合わせたり、勤務先に確認したりする中で、資格を取得するために必要な費用や、資格取得後の待遇について、受験前に知っておきたいことがたくさんあると感じました。

また、同じように養成講座を修了していても、修了時期や条件によって受験時の負担が違うことを知り、制度に対して複雑な気持ちになったのも事実です。

だからこそ、これから受験する人には、資格取得のメリットだけではなく、

「自分はどのルートなのか」
「資格取得までにいくらかかるのか」
「資格取得後の待遇はどうなるのか」

まで考えてから、受験を決めてほしいと思います。

特に、現在日本語学校で働いている方、これから日本語学校で働く方は、勤務先に受験料の補助制度があるのか、補助を受けるために在籍期間などの条件があるのかも、事前に確認しておくと安心です。

日本語教員試験は、資格を取ればすべてが変わる試験ではありません。

それでも、働く場所の選択肢を増やしたり、日本語教師として学び続けたりするための一つの手段にはなると思います。

この記事では、制度の細かなルールを解説するのではなく、実際に受験を決めた現役日本語教師が、何に悩み、何を感じたのかを中心に書きました。

この記事が、これから日本語教員試験を受験する方にとって、「知らなかった……」と後悔することを少しでも減らすきっかけになれば嬉しいです。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA